【大河】咳をしてもひとり
「ただいま」と言ってもひとり。
夕飯の準備をしても、
それを食べてもひとり。
気を紛らわせようと
テレビをつけたり
Youtubeを流したりしても、
その音が部屋に響いて
なんだかいっそう静けさが
強くなったような気がします。
紗季さんが用事で
1日だけ実家に帰りました。
一緒に暮らし始めて、
夜をひとりで過ごすことは
ほとんどなかったので
新鮮です。
子どものころ家でひとり、
留守番をしていたときの
気持ちを思い出します。
この2時間何をして
遊んでやろうか。
でも、ひとりの家は
静かで怖くてさみしいなあ。
そんな全能感と孤独感が
ないまぜになったような気持ちです。
子どものころは2時間もすれば
家族は帰ってきましたが、
紗季さんは明日の晩まで
帰ってきません。
さみしさが大きくなった分、
自由も大きくなりました。
僕はおとなになった自由で、
ピザを勝手にとることに決めました。
ひとりでピザを頼む罪悪感、
それを全部ひとりで
食べていい優越感。
そんなピザ一枚で感じる
罪悪感と優越感が
僕をおとなにしてくれるんですね。
さてさて、注文も済んだので
コンビニに炭酸でも
買いに行きましょう。
みなさんどうかこのことは
紗季さんには
内緒にしておいてくださいね。
大河
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